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1. 生命の情報とコンピュータ

1-1.バイオインフォマティクス(生命情報工学)

バイオインフォマティクスは、コンピュータを用いて生命現象の解明を進めていく技術・学問です。 それによって、生命がいろいろな環境の刺激に対してどう応答するか、 また、遺伝子の変異などによって細胞内でどのような異変が起こるのかなどの予測ができ、 医薬品の開発などに貢献できるのです。

例)アステラス製薬のCM

■ 生命の情報

  1. 核酸配列、アミノ酸配列
  2. タンパク質の立体構造
  3. 糖鎖
  4. パスウェイ(シグナル伝達経路)
  5. プロテオーム(Proteome)
  6. インタラクトーム(Interactome)
  7. 遺伝子ネットワーク




■ 肥大化する生命情報

実験装置のめざましい発展、検出方法や手法の改良により、 生命に関する情報が大量に生成されるようになりました。 こういう研究環境では、生成される大量の情報の意味を理解し、 その中からいかにして価値ある情報を抽出するかがますます重要になってきます。 しかしながら現実には、これらの大量の情報は十分に処理されずに、 そのままインターネット上に公開されいる状況だといえます。


■ 病態と疾患のメカニズムの解明

例えば、ある疾患に関係していると思われるゲノム領域が見つかったとします。 その後、そのゲノム領域の働きを知るために次のような解析が一般的に行われます。
  1. ゲノム配列から遺伝子領域を予測【オープンリーディングフレームの予測】
  2. 転写産物との配列比較
  3. 相同性検索
  4. モチーフ検索
  5. 膜タンパク質の予測

■ 細胞全体のメカニズムの解明

細胞全体を丸ごとシミュレーションしようという研究が進んでいます。 細胞のシミュレーションは、解糖系などの代謝反応や遺伝子発現のような細胞内の活動をすべて コンピュータ上で再現することにより、生命現象の解明に挑むという研究です。

■ 今後のバイオインフォマティクス

上述のような生命の情報の急速な増大の中で、 分子生物学における情報科学的解析の重要性が認識されるようになってきました。 大量の情報の中からいかにして価値ある情報を抽出するか、 また得られた情報をいかに効率的に利用するかが重要になってきたのです。 そして、1990年代におけるゲノム解析の進展の中で、情報科学的解析は、 バイオインフォマティクスへと統合され、ポストゲノム時代に入った今、 バイオインフォマティクスの重要性はさらに増大しています。
※ポストゲノム時代:一般にヒトゲノム解読終了後を指して使われる。


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